【 雨の日のスケッチ大会 ?違った情緒? 】本日の降水確率は40%。
日本海上の空の寒気の影響で北日本や西日本は雲が多く、所々でにわか雨や雷雨に見舞われる。
東日本は大体晴れ。 沖縄は梅雨空が続く。
新聞に書かれていた天気予報だ。
梶原 空はそんな天気予報など気にせずに、美術部のスケッチ大会へと赴く。
何故か・・・それは、彼女は持ち味ならぬ?感性?を備えているからである。
彼女は待ち合わせ場所にて、偶然にもグレと出逢った。
彼女はいつものようにグレに触りながら可愛がる。
そして、彼女はグレに訊ねてみた。
?飼い猫生活はどう??
グレはその答えにミャオ?ンと鳴く以外、出来なかった。
だが、グレはそんな空からの質問を受け流すように彼女の傍から離れて行った。
もしかすると・・・グレは飼い猫生活というものに?退屈?を感じていたのかもしれない・・・。
結局、スケッチ大会へと赴くことになったのは、梶原 空と顧問先生の春日野 日和、
そして・・・梶原 空の1年先輩である栗原 渚だった。
春日野 日和は天候の悪さと美術部員の集まりの悪さにやる気をなくしていたが、
栗原 渚の行きたい意思とは裏腹に、梶原 空の?私はスケッチしたいんです!?という自己主張が
身なりから窺えたので、仕方なく今回のスケッチ大会を開催することにした。
こうして、三人だけのスケッチ大会が幕を開けた。

栗原 渚は何処へ行っても、自らの趣味であろう?虫観察?を怠ることはなかった。
むしろ、趣味だけあって生きがいでもあるのだから、尚更だろう。
そんな先輩に、梶原 空は?自分とは違った視点?を垣間見るのだった。
顧問先生の春日野 日和の自動車に乗って、一行は最高の景色が良く観える山へと向かう。
あくまでも日和は法定速度を遵守し、かつ安全運転にて車を駆るという?自分ルール?を持っていた。
どうにも彼女は法定速度を越えるか越えないかのギリギリの感覚を味わうことで、スリルを楽しんでいるようである。
そんな中、渚は日和に突っ込みを入れる。
?法定速度にも全然、達していないんですが・・・。?
流石は、車の中にも?ピーちゃんそっくりの鶏のぬいぐるみ多数と焼き鳥のぬいぐるみ?を飾っているだけのことは
ある人だった。
日和の好きなモノは、飼っているピーちゃんと鶏と焼き鳥という・・・日和流三大好物といった何とも奇妙な陳列だった。
・・・といっても、法定速度云々とは一切、関係はない。
やがて、一行は山へと辿り着く。
日和は車の中で待機し、空と渚はどんよりとした空の下で開催されるスケッチ大会に出向いて行った。
早速、渚は自分だけの世界へと入り、様々な虫たちと戯れていく。
それに釣られるかのように、空は自然と渚の行く道を辿って行き、渚の行動を観察していた。
風景と同一化した渚の姿は、ありのままの?自然?を表していた。
虫好きな彼女・・・そのままの姿が。
空とは違う・・・違った姿が。
空は昼食後、絶好の景色が見える丘にてスケッチをし始める。
しかし、天候は曇り・・・丘から見える景色は雲が漂うグレー色の世界だった。
?空気が湿ってると、上手く描けない・・・。
中々きっぱり引けない線と、中々きっぱり降らない空が何となく似ている気がして・・・悪くない!?
この、じれったい想いが何とも風情があるということなのだろう。
山に吹く風は何も語らないのだから。
渚もまた、空と同じ景色を眺めていた。
途中、一羽の野鳥が低空飛行でその景色を遮りながら飛んでいた。
渚は言う。
?雨が近い証拠。 虫の羽根が水分を含んで重たくなって、それを餌にして鳥が低く飛んでいるんだよ。?
空は感じた。
?栗原先輩の観る景色と、私の観る景色は・・・異なる。?
人それぞれの視点によって、?想い?も?風情?も変化し続けるのだ。
いつの間にか、景色は雲の形が霧状となり、何処かで観た懐かしい風景へと変貌を遂げていた。
何処かで観たことがある景色・・・されど、何処で観たか解らない・・・と、空は想う。
―――――幻想―――――
そう、何処かで観た景色・・・それは即ち、幻想。
人は現実で観たことがある景色を、自らの世界が彩る?幻想世界?へと塗り変えることが必ずあるはずだ。
やがて、雨がしとしとと降り始めてきた。
降りそうで降らなかったから、まさに?にわか雨?だった。
空のスケッチは途中で断念はしたものの、全体的に景色が描かれていた。
渚は・・・スケッチを全くしてしなかったが、彼女なりに雨の日のスケッチ大会を楽しんでいた。
言うまでもなく、虫との触れ合い・・・自然との触れ合い・・・。
空と渚はそんな自然の中を背に、雨の道を歩いて行く。
空は想った。
?雨の日の山は・・・いつもとはまた違った顔を見せる・・・。?
?いつもとは違う?・・・何かを。
もしも、ずっと天気というものが晴天しかなかったら・・・?
毎日がつまらない感覚に浸るのは当たり前だが、生態系には大いに影響し・・・問題が生じてくるはずだ。
晴れ・雨・曇りなど・・・きっと、この変わり続ける天候は神様がくれた贈りモノであることは間違いない。
きっと・・・私たちを?退屈?にさせない為に・・・施してくれたモノなのだ。

空と渚は車で待機している日和の元へと、雨の道を堪能しながら帰って行く。
途中、渚は雨の日には最も気付きにくいであろう葉の裏で雨宿りをしている蝶を発見した。
今度は、渚の視点を感じ取ったかのように、空は渚の?視点?として観ることが出来たようだ。
本人にはその自覚はないが、同じ?視点?で観ることが出来たのだから、それはそれで素敵な発見だっただろう。【 夕日と虹と空と ?贈りモノ? 】日和の元へと戻った空と渚。
時刻は夕方近くの時間帯になっていた。
先ほどの?にわか雨?も止んでいた。 (すぐに止んだので、やはり、にわか雨だ)
日和は車から降り、光が差し込む景色を待っているかのように、自然と目が奪われ、呆気に取られながら山々の景色を
眺めていた。
それに釣られ、空と渚もその景色を眺める。
すると・・・、空たちの帰りを待っていたかのように、夕日が昇り始め、辺りがどんよりしたモノから
光り輝く?幻想の景色?へと姿を変えていた。
―――――神様からの贈りモノ―――――

反対側の景色は、前方の夕日が反射するように綺麗な?虹?がどんよりとした空に描かれていた。
―――――雨の日の贈りモノ―――――

梶原 空、春日野 日和、栗原 渚だけのスケッチ大会。
【 彼女たちだけの想い出の風景がそれぞれの心に刻まれた。 】
日和は空と渚に呟いた。
?あんたたちに付き合ったげて、ちょっと良かったかも。?
・・・・・・・・・優しい風が、山々を吹き抜けて行った。
一行は日和が運転する車で帰宅する。
日和はあの?虹?を観て、車の中で叫んでいた。
?あの虹は、私にとってのスターティングゲートよ!?
彼女に秘められた新たな門出が今、始まった!?
それはともかく、日和は?法定速度以上のスピード?がどうアクセルを踏んでも出ないことに薄々と勘付き始めていた。
メーターの横に見知らぬランプが照らされているのだ。
そのランプの意味を忘れていた日和だったが、メーター周辺を確認すると、何とサイドブレーキが引きっぱなしに
なっていたことに気付いた。
慌てて、日和はサイドブレーキを戻し、本来のスピードに乗じることに成功した。
そんな日和を見て、渚は呆然とする他なかったのであった。
まるで、夕日の輝きが教えてくれたかのように、日和は本当に今日のスケッチ大会に参加して正解だったようだ・・・。
今まで・・・ずっとサイドブレーキが引きっぱなしだったのだから・・・。
一方、空はスケッチブックを開き、あの山からの景色を描いたスケッチに付け足す作業をしていた。
最後に観た?虹?だ。
その景色を車の後方を振り返り、虹が出ている景色を再び見直すと、鉛筆を持って描いていった。
しかし、空にはその虹さえも、?違った風景?に観えていた。
違った風景・・・、それは“心の眼?で観るモノ。
違った風景・・・、それは“俄なる幸福の世界?なのであった。
『 私には、空に続いて行く大きな橋のように観えた。
同じ景色でも、そこに観えるモノは、人それぞれなのだ。 』(梶原 空)
(終)≪アイキャッチ ?春日野 日和’S プロフィール?≫
身長・・・163cm
誕生日・・・7月31日
血液型・・・B型
好きなモノ・・・鶏の炭火焼。 アユの塩焼。 スイカ。
苦手なモノ・・・壊れやすい製品。 理屈。
美術部顧問の先生。
≪感想≫※私は原作未読です。
※記事はオリジナル文章で綴っています。
※空は梶原 空、渚は栗原 渚、日和は春日野 日和のことです。 (空・・・景色の空と混同しやすいw)
※俄 (にわか) の部首と意味を活用。 人に我で個人の各々の観方をイメージ、突然の意味でにわか雨に掛けました。 お店の店員さんの声はARIAのアリシアさんということで大原 さやかさん!?
空の弟の青の声もやっていましたね・・・素晴らしい。
それはともかく、突然の挿入歌 『 遠くまで行こう 』 (歌 牧野 由依さん) の登場に驚きましたが、非常に嬉しかったです!
これは、サントラ買い?になりそうです。 (ED曲のカップリング曲でしたw)
そして、ピーちゃんが凄かった。
何がって・・・ニュータイプの素質をお持ちだったから!(ぇ
春日野先生の言葉を遠くから察知できるとは・・・ただならぬ素質の持ち主w
結局、春日野先生が好きなのは鶏そのものであって、飼う鶏も食べる鶏も好きだってことですか。
何か、矛盾している気がしますがw
ピーちゃんが保存食だったら・・・ショックですw (ありえない)
あ・・・夏海の飼っているクロが登場しましたね。
面白かったです、元気になったり、すぐに息切れしたり、何とも個性豊かな犬でしたw
それにしても、渚・・・グッジョブです。
現代にとって、忘れかけている?自然との触れ合い?をしていたのですから。
自分ももう一度、自然というモノを見直したい気持ちに浸りましたw
結構、虫とかは苦手な方なので・・・あぁ・・・難しいw
でも、森林とか山とか風景とか・・・そういう自然は好きですがね;
ちなみに、私の住む周辺は本日、曇りの天候でした。(何か、いいですねw)
≪田辺 涼 & 氷室 風のショートコント≫
〔Part?〕
解ってもらえるか不安で、人に言えないことがある・・・。 それは・・・。
涼 『 サンドイッチを食べると、パンが口の中の上辺りに張り付かない!? 』
風 『 張り付く! 』
涼 『 あと・・・。 私たち・・・美術部員だよね!? 』
風 『 美術部員だ! 』
衝撃の事実・・・でもないのですが、ショートコントだから仕方ない!?
〔Part?〕
天気が悪い・・・。 そして・・・。
涼 『 カタツムリや蛙の気持ちを考えたことがあるのかぁ?!? 』
風 『 ゲロゲロゲロゲロゲロ・・・・・・・・・。 』
涼 『 ケロケロケロケロケロ・・・・・・・・・。 』
蛙の気持ちになる為には、まず・・・鳴き声から・・・!?
≪今回の勝手にベストショット!≫私が勝手に今回の話の中での?ベストな絵?を選出するというコーナー。 今回はこの絵。
現代人には珍しい・・・自然を心ゆくまで堪能し、自然を愛する少女、栗原 渚です!(笑)
≪次回のスケッチブック≫第5話 『
ねこねこの日 』 です。
